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「ワイドショー政治」

「ワイドショー政治」という言葉をよく聞くようになってだいぶん年月が経つような気がする。でも、「ワイドショー政治」って何のことなのか、その厳密な意味内容、定義がなんなのか、あまりはっきりしない。広辞苑第七版を引くと、「ワイドショー」については、(和製英語)とした上で「芸能情報を中心にニュースや生活情報など幅広い内容を伝えるテレビ番組」と書かれているが、それにさらに「政治」を付加した言葉は、掲載されていない。
 「劇場型政治」という言葉もあり、「ワイドショー政治」とほぼ同義の言葉として使われることもあるようだ。
 ほぼ同義として考えると、おそらくは、概ね、テレビのワイドショーや劇場における演劇その他のように、演出によって、視聴者、観衆の耳目を引きつけ、楽しませて、視聴率を上げたり、観衆の評価を得ようとする政治手法や,政治のあり方のこと、と考えて良いのだろうか。
 政治というのは、人々の生活の基盤となる社会のあり方を決めていき、人々の生存や幸福追求を支える活動だから、一時的な人気取りや目くらましのような小手先の手練手管で営まれては、人々にとって良いことではないと思う。そういう意味では、「ワイドショー政治」というのは、望ましくない政治のあり方を指している側面はあるのだろうな、と感じる。
 他面で、テレビのワイドショーが、政治の問題を取り上げることは、その取り上げ方が公平、公正なものである限り、人々の政治に対する関心を広げる啓発的な意味を持ちうる、という側面もあるだろうと思う。
 テレビのワイドショーが政治の話題を取り上げ、その取り上げられた政治のことを「ワイドショー政治」というのであれば、そうした啓発的な意味を持ちうる,望ましい側面を持つものと考えることもできそうだ。
 今、2020年9月下旬、テレビのワイドショーは、僕の見る限り、政治の問題については、アメリカ大統領選挙を取り上げたと思ったら、韓国の法務大臣を巡る疑惑の問題ばかり。
 日本の政治に関わって、「ジャパンライフ」の元会長が逮捕されても、彼が客引きの手段として政府から「桜を見る会」の招待を受けた事実を利用していたことなど、取り上げていることを,ほとんど目にしない。
 国内問題は、政治問題ではなく、元アイドルの飲酒運転の問題。「桜を見る会」の疑惑に対する究明も、モリカケ疑惑、なかんずく、自死した赤木さんという公務員の方の問題も、もっともっと,ワイドショーが取り上げて、掘り下げた追及をしてくれてしかるべき問題だと思う。
 前官房長官は、マスメディアに対して著しい情報統制を行ってきて、記者会見でも、特定の記者に対しては、「あなたに答える必要はありません」等という、傲岸不遜で、記者の背後にいる国民の知る権利をないがしろにする態度を露骨に示してきた。そういう人物が,総理大臣にキャリアアップして、国民の支持を得ているというのは、ちょっと不可思議だが、テレビのワイドショーの取り上げ方が、公平、公正でなくて、啓発的な役割を適切に果たせていない、ということの反映なのではなかろうか、と感じる。
 健全な「ワイドショー政治」を、望みたいなあ、と感じる今日この頃である。